教材選びは書店に売っているテキストや問題集に限りません。
現在は資格試験対策の一つとしてYouTubeが台頭してきており、その勢いは急激に加速しています。
行政書士試験においても例外ではなく、YouTubeで「行政書士試験」と調べると大量のチャンネルがヒットするようになりました。
もちろんLECや伊藤塾などの予備校にも公式のチャンネルがありますが、過去の試験に合格した一般人によるチャンネルも大量に発生している状況です。
私が受験した2021年度の初期頃はそんなに多くなかったように記憶していますが、この1年間だけでも相当に増えたように感じます。
その理由は、「資格試験の対策において、既に受験を終えた人の体験談が非常に有益な情報である」ということに尽きるでしょう。
YouTubeの投稿には何の資格も要りませんし、投稿内容も自由です。
おすすめのテキスト、勉強方法、費やした時間、直前の過ごし方、などなど、いくらでもネタが出てきますし、それらは受験生にとって喉から手が出るほど欲しい情報なのです。
そして一部のチャンネルでは、予備校の様に講義動画を提供するところもあります。
「素人が講義なんかできるのか?」というのが当然の疑問だと思います。
しかし、素人目線だからこそ可能な説明の仕方などもあるので、一概に予備校の劣化とも言えないと思います。
今回は、私が受験期にお世話になっていたチャンネルを2つ紹介したいと思います。
マジでイケてる行政書士講座【ゆーき大学】
私がメインの教材として活用していたチャンネルです。
チャンネル登録者数は非表示となっていますが、動画の中で「行政書士試験対策チャンネルで登録者数NO.1」と称しています。
非表示を利用して誇張している可能性もありますが、動画の再生数を考慮するとあながち嘘でもないかなという印象です。
普段は弁護士として働く傍ら、このチャンネルの他に宅建試験の対策チャンネルも同時に運営しており、その体力には驚かされます。
さらに今後は司法書士試験や司法試験、公務員試験などにも手を広げ、将来的にはLECや伊藤塾と同じオンライン予備校を設立するといった展望も明かしており、界隈で最も注目されている一人と言っていいでしょう。
フライング気味に触れてしまいましたが、このチャンネルの特徴は、講師であるゆーき氏が司法試験を突破した弁護士であるという点です。
大手予備校でも司法書士試験に合格している講師は何人かいらっしゃいますが、司法試験に合格した現役の弁護士が行政書士試験の講師業に参入するというのは、私が知る限りでは聞いたことがありません。
法律を真に理解されており、その理解の深さが講義にも表れています。
受講前は「弁護士の先生だから説明が難しいんじゃないか?」と半信半疑でしたが、全くそんなことは無く、むしろ逆でした。
行政法の講義では、処分性のある行政行為のことを「ジャイアンみたいな行為」と例えたり、民法の講義では、第三者が被害を被ることを「激オコになる!」と表現するなど、要所要所で特徴的なキーワードとインパクトのある比喩表現を用いることによって、初学者にもイメージしやすいよう工夫が凝らされていました。
その一方、喋りはテンポが良く明瞭で、内容にも無駄がなく、話がまとまっていて、スーッと頭の中に知識が浸透していく様な感覚です。
どのように教えるのが最も効率がいいか?という点にとことん拘って作られているなと感じました。
また、ユーモアや笑いが程よい頻度で盛り込まれており、見ていて飽きることはありませんでした。
「ただ勉強ができるだけの人は、教えるのが上手いとは限らない」「本当に賢い人は、教えるのも上手い」という格言がありますが、正にその通りだと感じます。
と、ここまでベダ褒めしてきたわけですが、実はこのチャンネル・・・賛否両論があることで有名です。。
主に教材が高額である点と、講師との相性が分かれるという点ですが、この2点がクリアできれば私はお勧めしたいと思います。
いやいや、YouTubeは無料でしょ?と思われたかと思いますが、無料のYouTube講義とは別に、「神ノート」・「特別講義」という教材を有料で提供しており、これが中々に高額なのです。
一度無料の講義を聞いてみて、ビビっと来た方には受講をお勧めします。
私は何だかんだで1年近くこの講義を受講していたので、詳しい内容は別の記事にしています。
ゆーき大学のレビュー記事はコチラ
▶ 記事:マジでイケてる行政書士講座【ゆーき大学】レビュー
良いことも悪いことも書いているので、興味のある方は良かったら見ていってください。
かなりのボリュームになったので、おそらくどこよりも詳しくレビューしているかと思います。
▼ このチャンネル一発目の動画です。オリエンテーション的な感じなので検討している方には必ず見て欲しい動画になります。
▼ 講義動画一発目なので体験受講のつもりで見てみましょう。全くのゼロからだった私の行政法の勉強は、この動画から始まりました。
▼ 珍しく自分語りが長く収録されている貴重な動画。先生の人柄を知ることができ、個人的には一番好きな動画です。
行政書士独学応援(佐藤氏)
こちらもこの界隈では有名な方です。
2022年1月現在、チャンネル登録者数は2万人到達目前であり、登録者数を公開している行政書士試験対策の個人チャンネルでは断トツの1位です。
行政書士試験対策がYouTubeに台頭し始めたのは比較的最近であり、2020年から講義をしている佐藤氏は最古参と言ってもいいでしょう。
自身は2018年の試験で独学、社会人、初学者で一発合格を果たし、現在はチャンネル運営の傍ら、行政書士事務所を経営しています。
試験合格後、行政書士の実務をやりながらYouTubeで講師をしている数少ない一人です。
ただし、最近は行政書士の仕事のほうがかなり忙しくなってきたらしく、残念ながら今後は動画の更新は減る見込みとのことです。
このチャンネルの特徴は、人情味のある佐藤氏の人柄と言っていいでしょう。
予備校講師の様にトゲトゲした感じはなく、非常に柔らかい口調で分かりやすい説明がなされます。
物腰も柔らかく、親しみやすいおじさんといった印象で、どこか癒しの様な雰囲気さえ感じます。
また、「〇〇が分からないので解説動画を挙げてほしいです」とコメント欄でリクエストがあれば、数日後には本当にその動画が上がっているなど、受験生に対して真摯に向き合う優しい姿勢が見受けられます。
ビジネスライクなゆーき氏とは真逆なタイプと言えるでしょう。
講義については、自らの経験をもとに受験生が躓きやすいポイントを中心に解説するなど、受験生の目線に立った講義が多く、「この辺イマイチよく分からんな・・・」と思った分野についてこのチャンネルで検索すると、たいてい解説動画が見つかるので驚きです笑
そしてその解説は非常にわかりやすく、細かい分野でも最大限までかみ砕き、じっくりと時間をかけて詳しく丁寧に説明されています。
実際に私自身も、行政法の判例や民法の条文で分からないところは何度も佐藤氏の動画に助けられました。
テキストや問題集では理解に限界があるので、正に独学を応援するチャンネルと言えるでしょう。
一応、要点をまとめた有料のnoteも販売していますが、そんなに高い価格ではありません。
私は購入しませんでしたが、なんと記述対策のnoteが2021年本試験で的中したみたいです。
また、講義動画の他に勉強法やメンタル管理、自己啓発的な動画が多いことも特徴です。
受験生の不安を払拭する動画を何本も出しており、私も休憩時間の息抜きに視聴していました。
視聴するチャンネルを選ぶにあたって、「講師を好きになれるか」という観点はとても重要です。
このチャンネルが愛されているのは、佐藤氏の人柄に起因するところが多いのは間違いないでしょう。
▼ このチャンネル一発目の動画。オリエンテーション的な位置づけなので必見です。
▼ 実際に私がマジでお世話になった動画。受験生が必ず一度は混乱する、取消訴訟のおける「自己の法律上の利益に関係のない違法≠訴訟要件」についてどこよりも分かりやすく解説してます。正に目から鱗で、私もこれを見て100%理解できました。
▼ 試験1週間前に投稿された受験生への激励動画。直前の勉強が全く思い通りに終わらず、諦めかけていた私の心にメチャクチャ刺さり、とても救われました。ダントツで一番好きな動画です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
YouTubeの講義は市販のテキスト以上に相性の影響が強いと思います。
私がおススメしているからと言って、万人に合うことはないでしょう。
特に今回紹介したのはタイプの異なるお二人のため、一方は好きだけどもう一方は好きになれなない、という方が多いかもしれませんね笑
それぞれに良い所があるので私は両方視聴していましたが、欲張りすぎて5つも6つも見るのは逆に効率が悪くなる可能性もありますのでご注意ください。
今回紹介したチャンネル以外にもたくさんの行政書士対策チャンネルがありますので、自分に合うものを探してみるのも面白いと思います。
「YouTube講義が無かったら合格していなかったか?」と聞かれると難しいところがありますが、合格に大きく貢献したのは間違いありません。
独学の方は上手に活用して欲しいなと思いますし、その際にこの記事が少しでも参考になれば幸いです。